原発性アルドステロン症の診断方法
副腎静脈血サンプル、HSD3B2抗体を用いて腫瘍性と非腫瘍性を正確的に区別
概要
原発性アルドステロン症は副腎から自律的にステロイドが過剰に分泌される疾患であり、食塩感受性高血圧の原因となる。その病態は腫瘍性(APA)と非腫瘍性(IHA)の2つが存在し、治療方針が全く異なるため(前者が副腎摘除
術、後者が薬物治療)、鑑別診断が非常に重要である。しかし、APAとIHAを区別できるようなマーカーはこれまでに見つかっておらず、病理標本を用いて確定診断が行われる際、APAとIHAの形態的な特徴の差のみが判定材料に
用いられていたので、病態鑑別は困難であった。
発明者らは正常副腎、IHA及びAPAにおける3βHSDに関係するステロイド代謝経路を解明し、その2つ経路の割合を指標として副腎静脈血サンプルでの評価方法を開発した(図1)。また、HSD3B2というポリペプチドはAPAに
豊富に含有することに対し、HSD3B1はAPAとIHAともに存在する(部位と量の差がある)。 HSD3B2とHSD3B1の構造は非常に類似であるため、抗体によって識別することは困難であった。発明者らはHSD3B2に特異的なモノ
クローナル抗体を樹立でき、HSD3B1抗体と併用し、副腎組織の免疫染色にてAPAとIHAの病態鑑別を達成できた(図2)。
性能・特徴等
応用例
・腫瘍性と非腫瘍性原発性アルドステロン症の診断薬、診断キット
関連文献
[1] J Clin Endocrinol Metab, February 2014, 99(2):E257–E262
知的財産データ
知財関連番号 : 特許第6345596号
発明者 : 佐藤 文俊、笹野 公伸、森本 玲 ら
技術キーワード: 原発性アルドステロン症、診断、APA、腫瘍性、IHA、非腫瘍性