アモルファス相を経ずに結晶相同士で相変化する、不揮発性メモリ材料
高速性に優れ、熱的に安定で、低エネルギー動作可能なメモリを実現
概要
近年、世界中のインターネット上のデータトラフィック量は急激に増加しており、データ保管のための不揮発性メモリの革新が強く望まれている。特に、相変化メモリ(PRAM)はストレージクラスメモリへの実用が始まっており、大きな注目を集めている。一般にPRAMは、電気抵抗の小さな結晶相と電気抵抗の大きなアモルファス相の2状態を取ることで、 ON/OFFを記録している。
しかし、動作にアモルファス相を利用するため、耐熱性に劣ることや、アモルファス相への融解時に大きな消費電力が発生することなど、いくつかの課題も指摘されている。現在、それらを解決する不揮発性メモリ材料の創成が期待されている。
本発明の不揮発性メモリ材料は、ON/OFF状態のどちらも結晶相であることが最大の特徴である。アモルファス相への融解を必要としないため、熱的に安定であり、消費電力が小さい。そのため、動作エネルギーの劇的な低減が実現できる。また、結晶相間の相変化で大きな抵抗変化が得られるため、高速性にも優れる。東北大学では上記の不揮発性メモリ材料として、①MnTe、②窒化物系相変化材料、③希土類系相変化材料、の3種類を提案する。
相変化材料ラインアップとそれぞれの優れた特徴
応用例
・半導体メモリ
・論理素子
関連文献
[1] Nature Communications, 11, (2020), 85. (MnTeに関する)
知的財産データ
知財関連番号 : ①特開2019-153621/②特開2021-019090/③PCT/JP2021/028946
発明者 : 須藤 祐司、森 竣祐、小池 淳一、イ・シュアン、畑山 祥吾
技術キーワード: エレクトロニクス、情報・通信(ハードウエア)