難治がん新規治療標的 Vasohibin-2
最も悪性で難治性の膵がんの治療に道を拓く
概要
最も悪性で難治性のがんである膵がんに対し、血管新生促進因子であるVasohibin-2(VASH2)の発現を阻害すると、膵がんの浸潤・転移が顕著に抑制され(図1)、生存期間が有意に延長する(図2)。
その機序として、以下が明らかとなっている。
(1)VASH2発現を阻害することで膵がん細胞の遊走性、浸潤性が直接的に抑制されるが、これはVASH2のがん細胞内でのtubuline carboxypeptidase活性が阻害されることによる
(2)がん細胞から分泌されたVASH2は、がん間質の腫瘍血管新生を促進するが、VASH2発現を阻害することで、これが抑制される
(3)VASH2は、膵がん細胞のケモカインやサイトカインの産生を抑制することで骨髄由来抑制細胞やM2型マクロファージをがん組織内に引き寄せ、細胞障害性T細胞を排除してがん免疫が差動しないようにしているが、VASH2発現を阻害することでこのがん免疫の回避が取り除かれる
膵がんにおけるVasohibin-2発現阻害結果 引用元【1】
抗Vasohibin-2抗体 アバスチンと比較検証 引用元【1】
ペプチドワクチン 引用元【WO2019/045025】
応用例
・VASH2高発現がん(膵がん、卵巣がん、胆管がん、食道がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん etc.)の抗体医薬/ペプチドワクチン
・VASH2を発現するがんを以前に罹患したことがある対象へのがん再発予防
・VASH2を発現するがんの転移抑制
関連文献
[1] Iida‐Norita R, Kawamura M, Suzuki Y, et al. Vasohibin‐2 plays an essential role in metastasis of pancreatic ductal adenocarcinoma. Cancer Sci. 2019;110:2296–2308.
知的財産データ
知財関連番号 : WO2019/045025 WO2014/087810
発明者 : 佐藤 靖史
技術キーワード: 医薬(リサーチ・ツール)を含む