細胞への電気刺激装置
定電流制御と着脱式炭素電極により、生体を模倣する刺激パターンを再現性よく生成
概要
筋肉の収縮や心筋の拍動を培養皿上で模倣する装置として、電気刺激装置がある。しかし従来の電気刺激装置は、刺激パターンが限定的で生体の刺激を十分に模倣できておらず、実験間の再現性も乏しいという問題点があった。本電気刺激装置はこれらの問題点を克服している。本装置を用いることで、生体の刺激パターンを高度に模倣可能で、実験ごとの再現性も極めて高い。
■ 主な特徴 ■
・ どのような電気パルスパターンも生成可能
・ 厳密な定電流刺激による高い再現性
・ 着脱式炭素電極による高い再現性
・ 製造コストが安く、小型であるため、他の機器への組み込みも容易
・ 他の解析装置との連携が可能
・ 高いスループット性（多検体の処理にも対応可能）
電気刺激装置の外観
高い定電流制御、着脱式炭素電極による高い再現性
刺激電流値の比較（左：従来型装置、右：本装置）。各色の線が各ウェル（細胞）ごとの刺激電流値を示す。従来型では各ウェルごとに実行刺激電流の値がばらついており、温度変化、時間変化による変動が生じているが、本装置では、ウェル間、温度変化、時間変化に対して、極めて安定しており、高い再現性が実現されていることが示された。
応用例
・培養皿上の筋肉（筋管）や心筋細胞に対して、生体を模倣する電気刺激パターンを本装置により生成・負荷
・培養皿上での運動模倣（筋タイプ変換、応答遺伝子の探索）
・筋細胞、心筋細胞を生体に近い条件で培養し、薬剤スクリーニングの実施 など
関連文献
[1] 令和2年度 食肉に関する助成研究調査成果報告書 Vol.39 p58-63、久保純、他
[2] 生物工学会誌、バイオミディア「培養骨格筋で運動を再現するための電気刺激の現状」, 久保純, 2022年 100巻 9号 p.512
知的財産データ
知財関連番号 ： 特開2023-140852
発明者 ： 佐原 玄太、山田 昭博、久保 純 、山家 智之、井上 雄介、武輪 能明
技術キーワード： 電気刺激、運動、細胞培養、研究機器