植物由来・生分解性キレート剤を用いた岩石溶解・CO2地中貯留・鉱物固定技術
脱炭素化の切り札CCSを安全・安心・効率的に
概要
地球温暖化の原因物質である大気中CO2の削減に向けて、近年、CO2と反応して炭酸塩鉱物を形成するカルシウム等の金属元素に富む玄武岩やかんらん岩などの苦鉄質岩や超苦鉄質岩を用いたCO2地中貯留が世界的に注目されている。しかし、CO2地中貯留の地下環境は通常、低温で反応性に乏しいうえ、地下の孔隙の量や連結性あるいは浸透性も十分に大きいとは限らない。これらの課題を解決する技術が必要である。またCO2を水に溶かしこんで貯留する方式では、海水の使用が望まれるが、海水中の金属イオンとCO2の反応をCO2の貯留が完了するまで一時的に抑制する技術も必要である。
本発明は,鉱物の溶解を促進し、金属イオンを捕捉する植物由来・生分解性キレート剤を利用してCO2地中貯留と鉱物固定を促進するものである。本発明により,地下の岩石層の鉱物を溶解して孔隙を形成し、孔隙の量と連結性(CO2貯留空間)を増大させるとともに浸透性(CO2の圧入性)を改善することができる。また,キレート剤を含む海水にCO2を溶け込ませて貯留すれば、孔隙を形成しながら、CO2と同時に炭酸塩鉱物の形成に必要な金属イオンも貯留するとができる。
CO2地中貯留・鉱物固定促進技術のコンセプト

応用例
・水素の地中貯留
・天然水素資源の開発
関連文献
Wang et al. ,CO2 capture, geological storage, and mineralization using biobased biodegradable chelating agents and seawater. Sci.Adv.10, eadq0515(2024). DOI:10.1126/sciadv.adq0515
東北大学プレスリリース 「植物由来・生分解性物質を利用したCO₂削減技術を発明 ―CO₂地中貯留・鉱物固定をよりいっそう安全・安心・効率的に―」https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/11/press20241118-01-co2.html
知的財産データ
知財関連番号 : PCT/JP2023/033026
発明者 : 渡邉 則昭、 WANG Jiajie 、 岡本 敦、 堰合 涼太
技術キーワード: CO2貯留、CCS、水素貯留、水素資源開発
