共有リファレンス方式(RLSS)不揮発レジスタ
MTJ素子数を削減し、消費電力と面積を低減
概要
一定量のエネルギーが貯まるごとに間欠的にタスクを実行する間欠的コンピューティングは、エナジーハーべスティングによる微量かつ不安定なエネルギー供給下における継続的なエッジ演算処理を可能にする。間欠的コンピューティングにおいては、頻発するエネルギー供給の停止前後における処理の継続性の確保が必須である。そのため、不揮発記憶回路(不揮発レジスタ)を活用し、ローカルなデータ転送のみで内部状態を不揮発記憶処理できる不揮発ロジック回路構造が有望な選択肢となる。
従来の不揮発レジスタは、1ビット記憶回路(不揮発フリップフロップ、NV-FF)をビット数分接続する構成であり、1ビットあたり2個のMTJ素子を必要とするため、面積やエネルギーのオーバーヘッドが大きいという課題があった。本発明は共有リファレンス方式(Reference-Load Sharing Scheme: RLSS)と呼ぶ新たなレジスタ構成を提案する。本方式では、1ビットの情報を1つのMTJ素子とリファレンスMTJ素子の間で保持し、シーケンシャルなバックアップ・リストア処理を採用する。これにより、MTJ素子の数を削減し、回路機能を共有化することで、消費エネルギーを49%、面積を34%低減できることをシミュレーションにより確認した。
バックアップ・リストア動作および性能の比較

応用例
・不揮発レジスタ、不揮発フリップフロップ
・間欠的コンピューティング・エナジーハーべスティング
・既存のデスクトップやスーパーコンピュータの消費電力削減
関連文献
[1] DOI: 10.1109/MWSCAS60917.2024.10658712
知的財産データ
知財関連番号 : 特願2024-220627
発明者 : 夏井 雅典、吉田 知生、羽生 貴弘
技術キーワード: 不揮発レジスタ、 不揮発フリップフロップ、 間欠的コンピューティング、 エナジーハーべスティング、 消費電力削減