便秘薬ルビプロストンの腎保護作用
腸内細菌叢の改善でミトコンドリア機能が向上
概要
慢性腎臓病(CKD)は、世界の主要な健康問題の一つである。腎不全が進行すると透析に至るため、その治療法の開発が急務であるが、腎機能を改善する薬はない。 発明者らは、過去に、便秘症治療薬であるルビプロストンが腎機能の悪化に伴って変化する腸内環境を改善させることにより、体内の尿毒素蓄積を軽減させ、腎臓の障害進行を抑制する効果があることをマウスを用いた実験で明らかにしている1。
今回、発明者らは、ルビプロストンの腎機能に対する効果を検証する第二相臨床試験を実施した結果、ルビプロストンを投与した患者群ではプラセボ群と比較して腎機能(eGFR)の悪化が容量依存的に抑制されることを見出した。さらに、患者検体の網羅的解析から、ルビプロストンは腸内細菌叢を変化させることで、ミトコンドリア機能を改善するスペルミジンの産生を促進し、腎臓のミトコンドリア機能を改善することを明らかにした。

ルビプロストンの腎保護作用2

応用例
・慢性腎臓病(CKD)治療薬
・ミトコンドリア機能低下に伴う疾患全般の治療薬
関連文献
【1】J Am Soc Nephrol. 2015 Aug;26(8):1787-94
【2】Lubiprostone in Chronic Kidney Disease: Insights into Mitochondrial Function and Polyamines from a Randomized Phase 2 Clinical Trial
DOI:https://doi.org/10.1126/sciadv.adw3934
知的財産データ
知財関連番号 : 63/814,436
発明者 : 阿部 高明、渡邉 駿
技術キーワード: ルビプロストン、慢性腎臓病、ドラッグリポジショニング、ミトコンドリア機能改善
